和風庭園の大きな特徴の1つである庭石について松戸市の設計事務所が解説致します。

 

こんにちは、テンダーハウスです。

今週は少し天気の崩れる日はありましたが、暑い日が続きましたね🥵

皆様、熱中症に注意して週末をお過ごしください!

 

綺麗な庭石のある日本庭園に憧れた事はありませんでしょうか?

庭石は、日本庭園の美しさを支える重要なものです。

庭石には機能的な意味がないものが多く、主に庭の景観に趣を持たせる為に置くものです。

庭石は和風庭園の大きな特徴の1つで、石のみで構成されている庭園もある程です。

今回は、そんな庭石について松戸市の設計事務所が解説致します!

 

▼庭石の据え方

 

庭石を”据える”とは、簡単に言うと【・適切な向き・置き方で庭石を設置する】という事です。

庭石はただ置けば景観が良くなるものではなく、色々と考える事があり奥が深いです。

 

 

▼代表的な庭石の据え方

●山天

石の角の部分を頂点にする据え方

●平天

平らな面を上に向け、その面を水平にする据え方

 

▼石組みのやり方

 

▽基本の考え方

*庭の大きさ、風景に合った石を使いましょう。

*石の大きさや形を統一しすぎると、変化があまりなくなってしまう為なるべく変化を持たせてください。

*石の色は統一感を持たせるようにしましょう。

ポイント

人の手が入っている印象を取り除くようにしましょう。

 

▽中級編

*石の天端の高さを揃えると、同じ高さの石ばかりで趣がなくなるので高さに変化を持たせましょう。

*石を一直線に並べると、人工的な感じが出てしまうので注意が必要です。

*石理がくっきりと見える石は、バラバラだと不自然になる為、方向を統一して配置するようにしましょう。

 

▼庭石の種類

 

▽花崗岩(かこうがん)

花崗岩は、マグマが地下深部にて徐々に冷え固まった結晶質のもので硬く、磨くと美しく耐久性に富む石です。

主成分は【・石英・長石・雲母】の集合体で、粒状構造になっています。

磨くと美しい事から、建築物や庭によく使われますが

硬い為加工費がかかり、含有鉄分で錆が出たり耐火性の点でやや劣ります。

 

▽凝灰岩(ぎょうかいがん)

凝灰岩は、噴火で噴出した【・火山岩・砂・岩塊片】などが地中、あるいは陸上に堆積して固まった石の事です。

色は、淡色や灰緑色で混在する物質により斑紋があるものがあります。

凝灰岩として知られているものは”大谷石”です。

多孔質で柔らかい石質で加工もしやすく強度もある反面、風化しやすい性質を持ちます。

 

▽安山岩(あんざんがん)

安山岩は、噴火で噴出した火山岩で、地表近くで急に冷えて固まったもので

【・塊状・柱状あるいは板状】で露出しています。

安山岩として知られているものは”鉄平石”です。

色は灰褐色のものが多く、光沢がなく硬い性質を持っています。

 

▽砂岩(さがん)

砂岩は様々な岩石が粗粒となり水中に堆積し固まった石材です。

安山岩と凝灰岩の中間の強度を持ち、耐久性が高く酸にも強い特徴があります。

吸水率の高い物は、外装に採用すると凍害を受けて割れる場合があります。

また汚れやコケが付きやすく、メンテナンスが必要です。

 

▽石灰岩(せっかいがん)

石灰岩は、石灰質の殻を持った生物の化石や海水中の成分が沈殿し固まった石の事です。

柔らかく加工しやすい反面、寒冷地には向かず風化しやすい特徴があります。

 

▽石英岩(せきえいがん)

石英岩は堆積岩の一種で、石英質で出来た石の事です。

硬く光沢があるのが特徴で、成分が水晶とほぼ同じと言われています。

 

▼庭石の機能的な役割

 

▽飛び石について

 

 

●飛び石はなぜ置かれるのか

雨や湿気の多い日本で、昔から履物が土で汚れないように土を踏まずに伝い歩きが出来るように配置されていたものが飛び石です。

飛び石には平らな石をつかい、半分ほど地中に埋めて地面より少し高くなるように置きます。

かつて安土桃山時代には茶室の露地に用いられ、茶の湯と共に発展しました。

そして江戸時代には日本庭園の特徴的要素として広く普及しました。

飛び石は、配置の仕方や大きさによって歩く人の向きを変えたり

立ち止まらせるなど誘導をする効果を持っています。

また、置き方はおおむね50~55㎝程度の歩幅を想定しています。

これは和服を着た人の歩幅で、これにより趣のある歩き方が出来るとされています。

ゆっくりとした足取りで、庭の景色を眺めながら楽しんでいただきたいという”おもてなし”の心が反映されています。

石の種類や配置の仕方は様々で、現代では日本庭園だけでなく洋風庭園でも園路として使われている所を見かけるようになりました。

 

●飛び石の打ち方の種類

 

 

飛び石の”置き方”は専門的には”打ち方”と言います。

飛び石には、伝統的な作法により、歩きやすさと意匠性を持ち合わせた打ち方の種類がいくつかあります。

 

*直打ち

全ての石を直線状に並べた打ち方です。

歩きやすいように歩幅に合わせて並べます。

 

*大曲

曲線を描くように並べた打ち方です。

大きなカーブを描いたイメージで並べます。

 

*二連打ち(にれんうち)

2つの石を続けてまっすぐに打ち、左右に振り分ける打ち方です。

例えば全部で7~8個を並べる場合に、2番目と3番目、5番目と6番目は2つずつまっすぐに並べます。

変化があり、歩いていても楽しさが感じられる打ち方です。

 

*三連打ち(さんれんうち)

二連と同じような打ち方で、3つのまっすぐに打った石の並びを入れる打ち方です。

左右にずらした石とうまく組み合わせるとかなり変化に富み見た目も美しくなります。

 

*千鳥打ち(ちどりうち)

石を左右互いに打つ方法です。

順番に左、右、左、右と打つこの配置を”千鳥”と言います。

 

*雁掛け(がんかけ)

数匹の雁が空を飛んでいるような形に似ている打ち方です。

まさに雁行しているイメージになります。

 

▽沓脱石(くつぬぎいし)について

 

 

●沓脱石とは

縁側などに置かれている踏み台にする為の石の事です。

履物を脱ぐ為に置かれています。

踏み台にして玄関や縁側に上がる為にもあります。

日本人は古来より靴で部屋に上がる事がありません。

これは家の中を神聖な場所として捉えているという事が挙げられますが、台地には様々な穢れがあると考えている事も重要となります。

この穢れを家の中に持ち込むべきではないという考えから、玄関にて履物を脱ぎます。

その為の設備となったのが沓脱石と言えますね。

大事な境界線でありますが、脱ぎやすいように平らな石が選ばれました。

靴を脱ぐという考え方自体は、弥生時代にあったと考えられている事から

かなり古くから穢れと言う考え方があったことが分かります。

 

●沓脱石の選び方

*同じ場所に石は1つにする

沓脱石を設置する際は1つの石で自分のスペースを確保出来るようにしましょう。

沓脱石の特徴として、庭に置いてもあまり違和感がないという点があります。

同じ場所に並べて2つ以上置いてしまうと目立ってしまい、庭の雰囲気が悪くなってしまうかもしれません。

自分が使用するスペースを計算して沓脱石は1つにして下さい。

 

*石は平らなものにする

沓脱石を設置する理由は、靴を履いたり脱いだりする為がほとんどです。

その為、石を選ぶ際は平らな物にしましょう。

凹凸があったり、尖っていたりすると使い勝手が悪く怪我をする可能性もあるので注意してください。

 

*石は大きすぎず小さすぎないものにする

沓脱石を選ぶ際に最も重要な事は、庭とのバランスが取れた石にする事です。

灯篭や植栽よりも沓脱石が目立ってしまうと、せっかくの庭造りが台無しになってしまいますよね。

また小さすぎても使いにくくなる為バランスが取れた石を選んでください。

大きさの目安としては、床から大体20㎝程度が好ましいです。

幅の目安として、外に置く場合は2枚引き戸でしたら1枚分、4枚引き戸でしたら中央2枚分の長さの石を設置する事が多いです。

 

*石の色は基本自由

石を選ぶ際は庭全体の雰囲気や家の外壁に合った石を選びましょう。

純和風だったら落ち着いた濃いめの色、洋風だったら明るめの色だと合わせやすいです。

基本石の色は奇抜なものがないので、大抵は据えても違和感はそこまでないので

ご自身の目で見た沓脱石が建物・庭に合った品格や雰囲気になっているかを納得できればよろしいのではないでしょうか。

 

▽蹲(つくばい)について

 

 

●蹲とは

日本庭園に置いてある背の低い手水鉢の事です。

和風の庭園には欠かせない添景物となっています。

手水鉢は手や口を清める水を張った鉢の事です。

石や岩をくりぬいて水を溜め、手水で身を清める為の柄杓を添えているのが特徴です。

手水鉢は神社に置いておるので、皆様も一度は見かけた事があると思います。

この手水鉢を茶室の露地に置いたものが蹲と呼ばれています。

茶道には茶室に入る前に身を清めるしきたりがあり、庭に蹲が置かれるようになりました。

つまり庭に蹲が構えてあるのでしたら、そのお宅は茶室を所有しているという事になります。

蹲という用語はあまり聞き慣れない為、どのような意味があるのか気になる方も多いのではないでしょうか?

その名前の由来は手水鉢の形状にあります。

蹲は鉢が低い為、手と口を清める際には前かがみになる事から

それがうずくまるように見えた為”うずくまる”と同じ意味の”つくばう”からその名前で呼ばれるようになりました。

”蹲踞”と表記する事もあります。

 

▽鹿威し(ししおどし)

 

 

●鹿威しとは

なんとも言えない良い音を聞かせてくれる鹿威し。

これは、その名称からなんとなくイメージ出来るように、もともとは畑を荒らす鳥獣への威嚇の為に作られたものです。

 

●鹿威しの仕組み

鹿威しは、竹筒の中に引き入れた水が満杯になるとその重みによって竹筒の頭が下がります。

そうして軽くなった竹筒が元の位置に戻る際に音がなる仕組みです。

元は田畑を守る為に作られましたが、後にその音を楽しむという文化が花開くようになっていきます。

以後は日本庭園の装飾の1つとして設置される事が増えていきました。

 

▼庭石設置作業の際の注意点

 

*近隣住民への配慮

庭石の移動・設置には重機やクレーンが使われる事が多いです。

そうすると、どうしても騒音が発生してしまいます。

その為作業を依頼する時は、あらかじめ近隣住民の方たちに作業を行う事を伝えておきましょう。

作業後も良好な関係を保つ事が出来るように気を付けましょう。

 

*具体的な指示を出す

大きな庭石を1人で動かす事は不可能です。

その為、実際に動かすのは業者さんになります。

しかし庭石の設置はただ動かせばいい、という物ではありません。

庭石は置き方によって見え方が大きく変わるので、動かす人に任せてしまうと後で見た時にしっくりこない…

という事になりかねません。

必ず具体的な指示を出して動かしてもらうようにしましょう。

 

*ライフプランとの兼ね合い

引越しの頻度が高い方の場合、引越しの際に処分や移動で大きな手間とコストがかかってしまう事があるので庭石の設置はオススメ出来ません。

また、日常的な管理やお手入れについても考えて置いた方が良いでしょう。

これをどこまでご自身でやれるのか、ご自身のライフプランと相談してよく考えた上で庭石の内容を決定しましょう。

 

いかがでしょうか?

 

ただ置いてあるだけのようでいて、庭石はかなり奥が深い事をご紹介させて頂きました。

また、庭石は種類が多いのでご自身のお庭に合ったものをじっくりと探してみてください。

 

テンダーハウスでは、お客様のライフスタイルを考慮し、ご希望に添えるよう数度のプランニングを行い設計・施工を承っております。

また月に1度の無料相談会も開催しておりますのでお気軽に松戸市の設計事務所・テンダーハウスまでお問い合わせくださ。